この記事で分かること

  • 医療費・働けない・障害・死亡の4場面に、どんな公的保障があるか
  • 2026年8月から変わった高額療養費制度で、何を確認すればよいか
  • 公的保障があっても民間保険が不要とは限らない理由と、確認の順番

この記事は「民間保険はいらない」という結論ではありません。公的保障を先に確認すると、民間保険で埋めたい部分が絞れます。順番は、公的保障を見る → 自分が対象かを確認する → 不足を考える → 必要なら民間保険、です。

この記事で書かないこと

あなたが受け取れる金額、受給できるかどうか、必要な保障額は、この記事では判断しません。 年齢・所得・加入している制度・保険料の納付状況・家族構成などで変わり、 サイト側で断定できるものではないためです。特定の保険商品もすすめません。 所得区分ごとの上限額の一覧も転載していません。 ご自身の区分は、加入している健康保険の保険者や日本年金機構などの公式情報でご確認ください。

先に結論:商品を比べる前に、公的保障を見る

民間の保険は、公的な備えで足りない部分を埋めるためのものです。 ところが見直しの場面では、公的保障の話を飛ばして 「この特約は必要か」から始まることが少なくありません。

すると、すでに公的にカバーされている部分に、もう一度お金を払っていないかが分からないままになります。 逆に、公的保障だけでは足りない部分もあります。どちらも、先に公的保障を見ないと分かりません。

公的保障を4つの場面に分ける

制度名から入ると分かりにくいので、起きる出来事から並べます。

起きる場面と、対応する公的な仕組み
起きたこと主な公的保障確認先
医療費が高くなった高額療養費制度加入している健康保険の保険者/厚生労働省
病気やけがで働けない傷病手当金(健康保険等)加入している健康保険の保険者
障害が残った障害基礎年金・障害厚生年金など日本年金機構
家計を支える人が亡くなった遺族基礎年金・遺族厚生年金日本年金機構

1. 医療費が高くなったとき:高額療養費制度

高額療養費制度は、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費について、 年齢・所得に応じた自己負担の上限を超えた部分が支給される仕組みです。

2026年8月から変わっています

月ごとの負担上限額が見直され、あわせて「年間上限」が新たに導入されました。 ここでいう年間とは8月から翌年7月までです。 2026年7月までの旧制度の数字は、そのままでは使えません。 また、2027年8月には所得区分の細分化が予定されています。

直近12か月のうち高額療養費に該当した月が3か月以上ある場合、 4か月目以降の自己負担限度額が軽くなる「多数回該当」という仕組みもあります。 2026年8月の改正では、多数回該当の金額は原則として維持されています。

厚生労働省は、70歳未満・年収約370万円〜約510万円の人が 医療費100万円の治療を受けた場合、2026年8月からの制度では 自己負担が約9.3万円まで抑えられる例を示しています。

この9.3万円の扱い方

これは特定の条件での例であって、誰にでもあてはまる金額ではありません。 「医療費は誰でも9.3万円」「保険は9.3万円あれば十分」といった読み方はできません。 年齢・所得・実際の医療費・制度区分によって変わります。 確認することは一つで、自分の年齢と所得区分での上限を調べることです。

2. 働けなくなったとき:傷病手当金

健康保険等の被保険者について、 業務外の病気・けがの療養で働くことができず、 連続する3日間を含み4日以上働けなかった、 休業期間について十分な給与が支払われない、 といった条件を満たす場合に対象となる仕組みがあります。

全員に同じ制度があるとは限りません

国民健康保険を含め、誰にでも同じ傷病手当金があるわけではありません。 加入している健康保険によって扱いが異なります。 自分の場合にどうなるかは、加入している健康保険の保険者へ確認してください。 この記事では個人ごとの支給額の計算はしません。

3. 障害が残ったとき:障害年金

病気やけがによって一定の障害状態になった場合、 初診日・保険料の納付状況・障害の状態などの要件により、 障害基礎年金・障害厚生年金などの対象となる場合があります。

就業不能に備える民間の保険を検討する前に、 自分がどの公的制度に加入しているか(国民年金のみか、厚生年金にも加入しているか)を 確認しておくと、検討の出発点が変わります。 障害の認定は要件にもとづくもので、このサイトで判断できるものではありません。

4. 亡くなったとき:遺族年金

遺族基礎年金は、一定の受給要件を満たす場合に、 死亡した人によって生計を維持されていた 子のある配偶者またはが対象となります。

ここでいう「子」は原則として、18歳になった年度の3月31日まで、 または20歳未満で障害年金の障害等級1級・2級に該当する、婚姻していない子です。

遺族基礎年金の年金額(2026年4月分から/昭和31年4月2日以後生まれの子のある配偶者の場合)
区分年額
基本額847,300円
子の加算(1人目・2人目)各 243,800円
子の加算(3人目以降)各 81,300円
公式例:子1人の場合1,091,100円
公式例:子2人の場合1,334,900円

日本年金機構「遺族基礎年金」(2026年6月22日更新)の公表額。

この金額の扱い方

子どもがいれば必ず受け取れる、というものではありません。 保険料の納付要件や生計維持の要件などがあり、 受給できるかどうかは日本年金機構等で確認するものです。 この記事では、あなたの受給可否は判断しません。

遺族厚生年金は、厚生年金保険の被保険者等が亡くなり一定の要件を満たす場合に、 生計を維持されていた遺族が対象となる仕組みです。 年金額は亡くなった人の厚生年金の加入期間や報酬等をもとにした報酬比例部分等から決まるため、 「会社員なら◯円」といった一律の金額は出せません。 遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方を受給できる場合もあります。

公的保障があっても、民間保険が不要とは限らない

ここまでを読んで「では民間保険はいらない」とはなりません。理由は3つあります。

公的保障を確認する目的は、保険を減らすことではなく、 どこが埋まっていてどこが空いているかを見えるようにすることです。

自分で確認する順番

  1. 加入している制度を確認する。健康保険証・年金の記録で、どの健康保険か、厚生年金に加入しているかを見ます。
  2. その制度での取り扱いを公式情報で確認する。高額療養費の自分の区分、傷病手当金の有無は、加入先の保険者へ。
  3. 年金は日本年金機構の情報で確認する。遺族年金・障害年金の要件と、自分の記録。
  4. そのうえで、いまの保険証券を見る。何がどれだけ重なっているかを確認します。
  5. 残った不足を書き出す。ここまでで埋まらない部分だけが、検討の対象です。

4番目の「保険証券を見る」で何を見ればよいかは、 保険証券のどこを見る?にまとめています。 契約の書き出し方そのものは保険料を見直す前に確認することから始めてください。

それでも分からない部分が残ったら

公的保障と証券を確認しても、不足の見積もりが自分では決められないことはあります。 その場合にはじめて、相談という選択肢が出てきます。 相談を使う前に、無料保険相談はなぜ無料?で 費用の仕組みを確認しておくと、判断がしやすくなります。 使わずに自分で進める、という選択も同じだけ有効です。

不足を考えるには、いま毎月いくら払っているかも必要です。 家計チェックに入力すると、保険料を含む固定費が一覧で出ます。 登録不要・入力した数字は送信されません。

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まとめ

  1. 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」(2026年9月3日確認) https://www.mhlw.go.jp/
  2. 厚生労働省「治療と仕事の両立について」/「令和4年1月1日から健康保険の傷病手当金の支給期間が通算化されます」(2026年9月3日確認)
  3. 日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」(2026年6月22日更新/2026年9月3日確認) https://www.nenkin.go.jp/
  4. 日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」(2026年4月1日更新/2026年9月3日確認)
  5. 日本年金機構「障害年金」/「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」(2026年9月3日確認)

制度の内容・金額は変更されます。とくに高額療養費制度は2026年8月に見直され、 2027年8月にも所得区分の細分化が予定されています。 本記事は2026年9月3日時点で確認できた公表情報にもとづいています。 所得区分ごとの上限額の一覧は転載していません。個別の受給可否・支給額・必要保障額は判断していません。 ご自身の場合は、加入している健康保険の保険者、日本年金機構等の公式情報で必ずご確認ください。

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